貧血と食事
よく高校生の大会などで開会式のときに長時間立ちっぱなしのプラカーダーが突然バタンという音とともに後ろへ倒れて、係印が走って駆けつけ、対処するという光景が見られます。
倒れた人の顔を見るともう真っ白になって完全に血の気が引いたようになっています。これは、長時間立ち続けたことにより貧血症状となり、後ろへ倒れてしまったものです。
このような貧血症状は特に女性に多くみられます。貧血とは一体どのような症状なのでしょうか。
またどのような予防策が必要なのでしょうか。そのあたりについて述べてみたいと思います。
まず、「貧血」と一口に言ってもいくつかの種類があります。大きく分けると、鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、悪性貧血、溶血性貧血の4種類に分かれます。
これらのうちヘモグロビンの主たる構成物質である鉄が不足することにより、ヘモグロビンが製造されなくなってしまうためにおこる鉄欠乏性貧血が最も多くみられるものなのです。
そこで、この鉄欠乏性貧血に関して、どのような食事療法が必要なのか考えてみましょう。
食事療法というとこういう食材ばかり食べなさいというように勘違いする人が多くおられますが、あくまで食事療法というのは、1日3食、栄養のバランスよく食べることが最も大切なのです。
その上で、鉄欠乏性貧血の場合は、主食として、炭水化物を多く含んでいるご飯やパンや麺類を食べ、主菜として、魚介類や肉類、卵、大豆製品など良質のタンパク質を多く含む食品を摂るように心がけましょう。ほかには、副菜として、ビタミンやミネラルを多く含んだ野菜や、わかめやコンブなどの海藻を多く食べるとよいでしょう。
さらには造血効果の高いビタミン類をしっかり摂るようにして下さい。たとえばビタミンB12を多く含む牛レバー、豚レバー、魚介類、卵黄、チーズなどは最適です。
これらは葉酸も多く含み、正常な血液を創り出すのに不可欠の栄養といえます。それとともに新鮮な野菜や果物も一緒に食べるようにしましょう。
これによって非ヘム鉄の吸収率を高めることができるのです。最近はダイエットが大流行していることから、過度の食事制限をする人が増えています。
特に朝食を抜く人が多いようですが、こうした偏食を長期間続けると、貧血をはじめとして、必ず体に変調をきたすことになりますので、無理な食事制限はなるべく控えて下さい。